【質問】含水率の高い浚渫土の改良について

【質問】

橋梁基礎工事で発生する浚渫土を別の場所に運搬する計画があるが、当該浚渫土は含水率が高いため(コーン指数200程度)、生石灰で処理後、運搬する予定である。

生石灰で含水率を調整した物を土砂として取り扱って良いか。

なお、浚渫土はショベルカーによる海面掘削で発生する

【回答】

土砂として取り扱ってよい。

【解説】

  1. 環境省通知(昭和46年10月16日付け環整第43号)では、港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂その他これに類するものは廃棄物でないとされている。
  2. 建設リサイクル指針(監修建設大臣官房技術調査室、建設省建設経済局事業総括調整官室、建設省建設経済局建設業課)で示されている「泥水などを使用しない地山掘削から発生した泥土」は、建設汚泥に該当しないとされている。
  3. 大深度ニューマチックケーソン工法によると、「しゅんせつ作業はショベルカーで掘り起こすもの」である。
  4. 以上を参考に検討したところ、当該工法は、泥水等の添加剤を用いず、単にショベルカーで掘削していることに過ぎないことから、あくまで土砂(泥土)として取り扱いになる。
  5. そのため、自然物である泥土を改良したものは自然物であり、廃棄物にはあたらない。

【参考】

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について(昭和46年10月16日環整43号)

2 廃棄物の定義

(1) 廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、汚でい、廃油、ふん尿その他の汚物又はその排出実態等からみて客観的に不要物として把握することができるものであって、気体状のもの及び放射性廃棄物を除く。固形状から液状に至るすべてのものをいうものであること。

 なお、次のものは廃棄物処理法の対象となる廃棄物でないこと。

ア 港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂その他これに類するもの

イ 漁業活動に伴って漁網にかかった水産動植物等であって、当該漁業活動を行なった現場附近において排出したもの

ウ 土砂及びもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの

【質問】グリストラップ汚泥の処理について

【質問】

業務用厨房に設置されるグリストラップで生じる汚泥(廃油を含む)を石鹸化工法で処理する業者が存在する。

業務形態は、当該業者が排出元のグリストラップ内でハンディタイプの機械(小型と中型あり)を使用し、鹸化剤の添加後、攪拌し、グリセリン脂肪酸に分解する。その後給水を行い、希釈、下水道へ排水するものとなっている。

以上の業務形態について下記のとおり疑義が生じる。

  1. 当該業務形態が産業廃棄物である「汚泥(廃油を含む)」の中間処理に該当するか否か。もし、該当するならば、事業の範囲、処分の用に供する施設、処理後の廃棄物の処理方法(希釈は認める?)はどうなるか。
  2. 処理後物であるグリセリン脂肪酸の混合水について、廃棄物を「卒業」したと判断する指標を「下水道法における排水の水質基準(pH、BOD、n-ヘキサン値等)を満たていること」としてよいか。

【回答】

  1. 当該処理は、浄化槽等に流入する前の雑排水の処理であり、浄化槽法で定める雑排水の処理の前処理にあたることから、廃棄物処理法上の中間処理には該当しない。なお、処理前処理後問わず、浄化槽に雑排水を投入する行為は、浄化槽の処理能力の範囲内で行う必要があるため、処理した雑排水の水質(pH、BOD、SS等)や投入水量等について、浄化槽の機能に支障が生じないか確認する必要がある。
  2. 雑排水である当該混合水を通常の排水として判断する基準については、生活環境保全上の支障を生じない性状であることが必要であることから、水質汚濁防止法に定める公共用水域への排水基準に準ずる必要がある。なお、雑排水を浄化槽で処理するのであれば、浄化槽の機能を損なわないよう雑排水の投入量や性状を管理する必要があり、また、下水道に排水することについては、関係部局と調整する必要がある。

【参考】

 合併処理浄化槽により処理可能な雑排水の取扱いについて(抜粋)

 (平成12年3月31日衛浄20号)

 別添に示す業種の排水は、その性状及び特性からして、合併処理浄化槽により処理可能な雑排水として扱っても特段の支障がないことから、以下の内容に従った適正な措置が講じられるよう、貴管下市町村(一部事務組合を含む。)に対する周知・指導を含めた対応方よろしくお願いする。

一 処理可能な業種の排水等の対象人員算定基準の適用等について

 別添に示す業種の排水に関し、一日当たりの平均的な排出水の量が五〇m2未満であるものについて、当分の間、今回の対象とするほか、合併処理浄化槽により処理可能な業種に対する対象人員算定基準の適用等、その他留意点については、建設省から別途発出される都道府県建築主務部長に対する通知によること。

 別表

  合併処理浄化槽への事業場排水の受入れ可能な業種

  123 野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業

   1231 野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業

   1232 野菜漬物製造業

  127 パン・菓子製造業

   1271 パン製造業

   1272 生菓子製造業

   1273 ビスケット類・干菓子製造業

   1274 米菓製造業

  129 その他の食料品製造業

   1293 めん類製造業

   1295 豆腐・湯揚製造業

   1296 あん類製造業

   1298 惣菜製造業

 

【質問】許可申請時の講習会修了証の添付について

【質問】

新規の講習会を受講した後、申請を行わず使用期限の5年間が過ぎてしまった。

今年度、新規で許可申請を行う予定である。

講習会の日程的に更新を受講したい。

新規許可申請の添付書類として、(期限の切れた)新規&更新の修了証を添付してよいか。

なお、新規の講習会の受講後は産廃関係の業務を行っていない。

【回答】

新規許可申請の添付書類として、新たに受講した新規の講習会の修了証を添付すること。

期限の切れた新規及び更新の講習会の終了証を添付書類とする際には、更新の講習会の受講前に、産業廃棄物処理に関する基礎知識を習得していることを証明できる書類を追加添付すること。

【解説】

 

更新講習会は産業廃棄物処理に関する基礎知識を習得していることを前提とした講習科目になっている。

新規の講習会受講後に実務経験がないことから、業を行うに必要な知識と技能を継続して有していた状態でなはく、期限の切れた新規及び更新の講習会の修了証が、技術的能力を証明する書類に足るとは言えない。

【質問】中間処理業における取扱い品目を追加する際の手続きについて

【質問】

以下の中間処理業許可を有する業者がいる。

(破砕)・・・ガラ陶、がれき類

(焼却)・・・紙くず、木くず、繊維くず

この業者が「破砕品目に木くずを追加する」場合に必要な手続きは、変更許可か変更届出のどちらになるのか。

【回答】

事業範囲を変更しているため、変更許可が必要である。

【解説】

事業範囲については、平成10年の法改正で「処分の方法ごとに区分して取り扱う産業廃棄物の種類を記載する」とされた。

このことから、中間処理における事業範囲とは、処分の方法ごとに独立していると解されるため、取り扱う品目を追加する際には、変更許可を要する。

今回の変更内容は、破砕処理に新たな品目を追加しており、事業の範囲を変更していることから、変更許可を受ける必要がある。

【参考】

(変更の許可等)

第十四条の二 産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者は、その産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分の事業の範囲を変更しようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、その変更が事業の一部の廃止であるときは、この限りでない。

 

廃掃法等の一部改正について(平成10年5月7日衛環第37号)

第13 様式の改正について

(2)① 事業の範囲については、処分の方法ごとに区分して取り扱う産業廃棄物の種類を記載することとしたこと 

 

【質問】収集運搬委託契約書の最終目的地について

【質問】

産業廃棄物収集運搬の委託契約書については、政令6条の2第4号ロにおいて「産業廃棄物の運搬を委託するときは、運搬の最終目的地の所在地」を記載することが定められているが、一つの契約書でこの最終目的地を複数記載(複数の中間処理、処分業者を記載)してもよいか?

【回答】

収集運搬委託契約書の最終目的地については、複数記載しても構わない。

但し、記載された最終目的地である、中間処理業者、最終処分業者について、それぞれ排出事業者と委託契約が締結されている必要がある。

また、最終目的地ごとで収集運搬料金が異なる場合等、運搬先により取扱いが異なる法定事項については、運搬先ごとの記載が必要である。

【解説】

法12条第5項では、「事業者は、(中略)その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第14条第12項に規定する産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。」とされており、収集運搬と処分の委託契約については、別個のものとなっている。

したがって、記載されている最終目的地である処分業者等と排出事業者との間で、処分に係る委託契約等が締結されていれば、収集運搬委託契約書に複数の運搬先(最終目的地)が記載されていても問題はないと考える。

また、それぞれの運搬先への運搬量等については、マニフェストでもって確認できることから、最終目的地を複数記載することにより支障は生じないと考えられる。

【質問】公共工事の瑕疵保証工事における排出事業者について

【質問】

公共工事において、A社が設計を受注、C社が施工を受注し工事が完工した。

しかし、その後A社の設計ミスが判明し、A社は設計ミスに係る保証工事をB社に発注し瑕疵の保証を行った。

この保証工事において、発注者および排出事業者(元請け)を、発注者はA社、排出事業者(元請け)はB社としてよいか?

なお、B社は当初の工事において、元請け又は下請け業者として関与していない。

【回答】

排出事業者(元請け業者)はA社である。

【解説】

瑕疵による保証工事も、元の公共工事に付随して発生しているため、あくまで元請けはA社であり、B社は下請け業者に該当する。

【質問】安定型最終処分場の部分廃止について

【質問】

安定型最終処分(17筆)の許可を受けている業者が、許可更新時期を迎えているが、安定型処分場に供している17筆のうち3筆について、地権者の同意がとれない。

この3筆のうち、1筆は埋立終了しており、2筆は埋立を開始していない。これら3筆を部分的に廃止し、更新申請を受けることが可能か。

 

【回答】

未埋立及び埋立完了の事業場それぞれ手続きをとることで、更新申請を受けることができる。

【必要な手続き】

1 未埋立の2筆について

(1) 業許可について

「擁壁又はえん堤の変更」及び「最終処分場の縮小」が発生することから産廃処分業変更届出を要する(規則第10条の10第1項第4号)

(2) 施設について

① 「擁壁又はえん堤の変更」に該当することから産廃処理施設変更許可を要する。

  (規則第12条の8第3号カ)

② 変更許可後、埋め立てていない箇所に関して、軽微変更届出を要する。

  (法第15条の2の6第3項ただし書き)

2 埋立が完了している1筆について

(1) 業許可について

既に廃棄物を埋め立てた1筆については、最終処分場として使用されたことから、廃止基準に適合することが確認されないと廃止が出来ない。すなわち変更事項が無いことから、特に届出は必要無い。

(2) 施設について

 上記1と同様、廃止基準に適合することが確認されないと廃止が出来ないことから、現時点で特に届出は必要無い。

【解説】

1 未埋立の2箇所に係る手続きの根拠について

最終処分場の廃止基準については、最終処分場の安全性が確認されることなく維持管理が打ち切られることがないよう平成10年に新たに定められたものであり、「廃棄物処理施設として維持管理を行わなくとも、掘削などによる遮水工の破損や埋めたてられた廃棄物の攪乱等の行為がなくそのままであれば、生活環境の保全上の問題が生ずるおそれがない状態になっているか否かを判断するための基準」として規程されたものである。(参考:平成10年7月16日環水企第300号・生衛発第1148号)

そして、廃棄物が埋め立てられていない処分場の廃止基準については、最終処分場に係る技術上の基準を定める省令第2条第3項で「~~廃棄物が埋め立てられていない産廃の最終処分場にあっては、廃棄物が埋め立てられていないこととする」とされており、生活環境の保全上支障が生ずるおそれのない箇所、すなわち廃棄物が埋め立てられていない箇所を強く規制する性質ではないと考える。

したがって、廃棄物が埋め立てられていないことを確認のうえであれば、部分的に法第15条の2の6で準用する法第9条第3項第5項に規定する廃止確認を受けることが可能であり、廃止確認後、業に係る変更を届出る必要がある。

なお、当該事業場は、廃棄物が地下にある土地では無いため、法第15条の17第1項で規定する指定区域の対象とはならない。

2 埋立が完了している1筆に係る手続きの根拠について

(1) 業許可について

「埋立を完了」=「当該場所で今後廃棄物の処理を行わない」と解することが出来ることから、当該土地の使用権限が無いことをもって、適正な処理施設を有していないとまでは言えない。

(2) 施設について

上記(1)と同様、廃止基準に適合することが確認されないと廃止が出来ないことから、現時点で特に届出は必要無い。

(3) 参考

規則第10条の5第2号イ(1)

埋立処分を業として行う場合には、産業廃棄物の種類に応じ、当該産業廃棄物の埋立処分に適する最終処分場及びブルドーザーその他の施設を有すること。

【参考】

産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)(平成25年3月29日環廃産発第13032910号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長)

第1 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業の許可について

3 施設に係る基準

(1) 申請に係る施設について、その構造が当該施設において取り扱う産業廃棄物の性状に応じた適正な処理ができるものであること、稼働後の運転を安定的に行うことができ、かつ、維持管理が適正に行えるものであること等について必ず実地に確認すること。その際、当該施設が廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号。以下「令」という。)第7条各号に掲げる産業廃棄物処理施設以外の施設である場合には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号。以下「規則」という。)第12条及び第12条の2に規定する技術上の基準(以下単に「技術上の基準」という。)を参考とされたいこと。

(2) 申請者が、当該申請に係る施設について、継続的に使用する権限を有していることを確認すること