【質問】回収した不法投棄廃棄物の処理について

【質問】

  1. A町が不法投棄パトロールを行い、町道、農道等に放置されている廃タイヤを回収して保管していたものを処理しようとする場合、産業廃棄物処理業者へ委託しても問題ないか。なお、数百本単位で不法投棄された廃タイヤは、産業廃棄物業者が投棄した可能性がある。
  2. 不法投棄物は基本的に一般廃棄物に該当するが、不法投棄物の種類によっては産業廃棄物に該当しないか。

【回答】

1について
 廃棄物の排出者は、当該廃棄物を発生させたものであることから、不法投棄廃棄物を回収した者は廃棄物の排出者ではない。

 一方、廃棄物処理法第5条に基づき、土地又は建物の占有者(占有者がない場合には管理者) は、占有し又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならないため、道路等の管理者も、当該管理する道路の清潔を保つように努めなければならず、また、当該行為は管理業務であると考えられる。

 以上のことから、道路管理者たるA町は、廃棄物の排出事業者ではないが、管理業務において不法投棄廃棄物を収集したもので、当該廃棄物は産業廃棄物に該当すると考えられることから、産業廃棄物処理業者への処理委託は可能である。

 なお、不法投棄物である廃タイヤは産業廃棄物たる「廃プラスチック」に該当するが、不法投棄物が指定業種等のある木くずや繊維くず等の場合は、「事業系一般廃棄物」に該当するため、一般廃棄物処理業者への委託が必要である。

 

2について

 産業廃棄物は、廃棄物処理法第2条第4項に基づき、事業活動に伴って生じた廃棄物であり、同項及び廃棄物処理法施行令第2条各号に掲げる20種類に該当するものである。

 したがって、 不法投棄物が事業活動に伴って排出された物か否か及びその種類により、不法投棄物が産業廃棄物に該当するものであるか判断することとなる。

 なお、前記(1)のなお書きのとおり、指定業種のある廃棄物は、事業活動に伴って排出された場合であっても「事業系一般廃棄物」となる。

【参考】

◎法第2条第4項第1号

 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
⇒施行令第2条第1号 紙くず(建設業に係るもの、パルプ、紙又は紙加工品の製造業、新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業に係るもの並びにPCBが塗布され、又は染み込んだものに限る。)

◎法第5条

第1項 土地又は建物の占有者(占有者がない場合には、管理者とする)は、その占有し、又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならない。
第4項 前項に規定する場所〔※公園、広場、キャンプ場、スキー場、海水浴場、道路、河川、港湾その他の公共の場所〕の管理者は、当該管理する場所の清潔を保つように努めなければならない。