【質問】生活環境影響調査における調査項目について

【質問】

現在、産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可を取得しており、事業の範囲として「脱水」の許可を取得しているが、今回、設備を新設して「脱水」の処理能力を増加させることになった。

その結果、当該脱水施設は産業廃棄物処理施設設置許可対象となり、生活環境影響調査が必要となるが、以下のような調査方針でよいか。

○車両の走行に伴う影響について

車両の増加も5台/日であり、ほとんど影響が無い。→調査しない。

○施設の稼動に伴う影響について

・大気質について

当該施設は、排気ガスの発生が無い。→調査しない。

・騒音・振動について

当該施設は、騒音・振動の発生が考えられる。→調査する。

・悪臭について

当該施設は、特定悪臭物質を発生する施設でなく、また、搬入はバキューム車からタンクに投入させることから悪臭の発生は無い。→調査しない。

・水質について

当該施設は、道路側溝への排水がある。→調査する。

【回答】

○車両の走行に伴う影響について、現況の交通量が相当程度変化しないことが説明できれば、調査は行わなくてもよい。

○施設の稼動に伴う影響について、「騒音・振動」、「悪臭」、「水質」は調査する必要がある。

【解説】

1 生活環境影響調査における調査事項、調査項目、調査対象地域について

廃棄物処理施設生活環境影響調査指針(平成18年9月 環境省)によると、「各調査事項の具体的な項目については、廃棄物処理施設の種類及び規模並びに処理対象となる廃棄物の種類及び性状並びに地域特性を勘案して、必要な生活環境影響調査項目を申請者が選定する」とある。

2 申請者が選択した生活環境影響調査における調査事項等について

ア 車両の走行に伴う影響について

廃棄物処理施設生活環境影響調査指針によると、例えば大気質については、 「廃棄物運搬車両の走行によって排出される自動車排気ガスによる影響については、廃 棄物運搬車両により交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道の周辺の人家等が存在 する地域とする。」とある。

また、騒音、振動についても同様の記載となっている。

以上のことから、廃棄物処理施設設置に係る廃棄物運搬車両の影響については、申請者が現況の交通量が相当程度変化しない理由が説明できれば、調査を行う必要は無い。

イ 施設の稼動に伴う影響について

上記のとおり、調査事項等については、廃棄物処理施設の種類及び規模並びに処理対象となる廃棄物の種類及び性状を勘案して選定するものである。

本件の申請者の現在の許可内容を確認すると、事業の範囲の「脱水」については、脱水:汚泥、動植物性残さ、動物のふん尿となっている。

また、申請者が作成・提出している資料を確認すると、取り扱う汚泥については、「有機汚泥」及び「無機汚泥」であることが分かる。

「無機汚泥」については、代表的な例として建設汚泥が挙げられるが、確かに悪臭の発生は、通常考えづらい。

しかしながら、「有機汚泥」については、代表的な例として下水汚泥、ビルピット汚泥が挙げられるが、悪臭の発生は十分考えられる。

3 結論

上記1及び2から、車両の走行に伴う影響については、現況の交通量が相当程度変化しないことが説明できれば、調査は行わなくてもよいと言えるが、施設の稼動に伴う影響については、申請者が言う「騒音・振動」及び「水質」に ついてのみではなく、「悪臭」についても調査する必要がある。