【質問】廃ブラウン管テレビの前面パネルの処理について

【質問】

事実上倒産状態となり、事業場内に廃棄物が残置状態となっている「株式会社A」について、不動産管理会社等の委託を受け残置廃棄物の撤去を実施している株式会社Bから以下の相談があった。

大半の廃棄物については撤去の目処がついたが、ブラウン管テレビを分解した廃ブラウン管ガラスが残っており、既に分解されているため、家電リサイクル法のルートにものせられず処分に苦慮している。

ブラウン管側面部分については鉛が含有しているため難しいと思うが、ブラウン管前面パネルについては、通常のガラスくずとして処分できないか。

 

【回答】

当該ブラウン管前面パネルに対し、廃掃法に基づく鉛の溶出試験「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法(環境庁告示第13号)」を実施し、判定基準以下であれば安定型処分場への埋立も 可能である。

しかし、ブラウン管の側面部(ファンネルガラス)については、安定型処分場への埋立が認められていないため、家電リサイクル法の指定業者等に処理委託するなど適正に処分する必要があ る。

なお、特定家庭用機器については家電リサイクル法に基づき処理することが原則であり、このような処理についてはあくまで例外措置であることに留意されたい。

 

【解説】

廃ブラウン管テレビについては、特定家庭用機器再商品化法(以下「家電リサイクル法」という。)第二条第四項で規定される特定家庭用機器に該当し、その処分については、家電リサイクル法に基づき処理する必要がある。

しかしながら、本事案のブラウン管前面パネルについては、 既に分解された状態となっており家電リサイクル法に則った処理は困難な状況である。

廃棄物処理法施行令第6条第1項第3号イにおいて、安定型処分場へ埋立可能な品目として

(4)第2条第7号(ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず)に掲げる廃棄物で事業活動に伴って生じた物(自動車等破砕物、廃ブラウン管(側面部に限る。)、廃石膏ボー ド及び廃容器包装であるものを除く。)

と規定されており、廃ブラウン管に係るものについては側面部のみが除外されている。

また、環境省が公表している調査結果によると、ブラウン管前面パネルの鉛含有量および溶出量は、含有量14.2mg/kg(14.2ppm)、溶出量 <0.02mg/L(検出限界以下)となっており、微量の鉛が含有されているものの溶出量は基準以下(判定基準0.3mg/L)となっている。

これらのことからブラウン管前面パネルが産業廃棄物になったものについては、産業廃棄物の「ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず」として取り扱っても問題ないと考えられる。

しかしながら、本事案のブラウン管前面パネルについては、分解を行った事業者が不在のため、出所等が不明な点なども考慮し、廃掃法に基づく溶出試験を実施し鉛の溶出量を確認する必要があると考える。