【質問】ペットの火葬・焼却灰等に対する廃棄物処理法の適用について

【質問】

ペット火葬場に関し、以下の点についての指導事例、指導方針等を伺いたい。

①ペットの火葬に対する廃棄物処理法等の適用

②ペットの火葬後の焼却灰に対する廃棄物処理法等の適用

③焼却灰を廃棄物とした場合の産業廃棄物・一般廃棄物の区分

地域内でペット火葬場がある。

火葬に当たっては、焼却基準を満たすような施設を利用しているが、ペットの焼却灰については当面の間保管し、7年ほど経過した後、海に散骨しているとのことである。

本事例については、ペットの火葬までは廃棄物処理法の対象外と考えるものの、同事業者には、火葬・散骨等で環境に影響を与えないように留意していただきたいと指導しているところであるが、焼却灰について散骨することに対し、どのように指導すべきか。

 

【回答】

①ペットの火葬に対する廃棄物処理法等の適用の有無

厚生省疑義照会「動物霊園事業において取り扱われる動物の死体は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第2条第1項の廃棄物には該当しない。」とされていることから、ペットの供養目的の火葬については廃棄物処理法は適用されない。

一方で、周辺環境へ影響を与えないよう、廃棄物焼却炉の基準に準じて焼却するよう指導されたい。

②ペットの火葬後の焼却灰に対する廃棄物処理法等の適用

焼却灰を海にまく行為等は、供養等を伴っている限りは、廃棄物処理法を適用することは適当でないと考える。一方で、大量の焼却灰をまく場合、生活環境の保全上支障が生ずるおそれがあることから、可能な限り、飼い主へ返却又は最終処分場にて埋立処分等をすることが望ましい。

なお、散骨の態様(頻度、量、生活環境への影響等)、供養の態様(飼い主の意思、供養の方法等)を総合的に勘案し、社会通念上許容されない、すなわちみだりに散骨している場合、不法投棄に該当する可能性もあるため、注意が必要である。

③焼却灰を廃棄物とした場合の産業廃棄物・一般廃棄物の区分

ペットの焼却灰が廃棄物であるとした場合、ペットの死体自体は家庭から排出されていることから一般廃棄物であり、通常、一般廃棄物を中間処理しても一般廃棄物である。

しかしながら、①のとおり、ペットの死体を火葬している間はまだ廃棄物ではないことから、当該焼却灰は、廃棄処理しようとした時点で廃棄物になると捉えるべきと考える。

つまり、ペット火葬場が廃棄処理する場合には、ペット火葬場が廃棄処理する時点(本事例で言えば7年経過した時点)で、ペット火葬場から排出されたものと捉え、産業廃棄物として産業廃棄物最終処分場で処理することが適当と考える。(ただし、市町村においては産業廃棄物も処理可能であることから、市町村と相談の上、一般廃棄物最終処分場に埋め立てることも可能である。)

一方で、飼い主等に返却し、飼い主が廃棄処理しようとした場合は、飼い主が廃棄処理する時点で、飼い主から排出されたものと捉え、一般廃棄物として一般廃棄物最終処分場で処理することが適当と考える。

【解説】

厚生省の疑義照会で示されているように、動物霊園事業において取り扱われる動物の死体については、法第2条第1項の「廃棄物」には該当しない。

したがって、ペット火葬業等で供養物としてペットの死体を取り扱う場合は廃棄物処理法の適用外となる。

なお、ペット火葬業で供養を引き受けたペットの死体についても、みだりに捨てた場合などには不法投棄に該当するおそれがある。