【質問】針灸所から出る針について

【質問】

廃棄物処理法では、感染性廃棄物である条件として、排出場所が指定されている。しかし、その排出指定場所にははり師が業を行っている鍼灸院は該当しないと考えられる。よって、当該施設から排出される針は、普通産業廃棄物たる金属くずと区分されると考えるが、当該金属くずの処理については、普通産業廃棄物として処理して良いのか。それとも、感染性廃棄物に準じるとして、感染性廃棄物として処理するべきか。

【回答】

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第2条の4第4号において、「国内において生じたものにあっては、施行令別表第1の4上欄に掲げる施設において生じたもの」のみが「感染性廃棄物」に該当すると定義されている。

一方、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第7条等において、当該医 業類似行為を行う場所については「施術所」と記述されており、これは上記の感染性廃棄物の指定排出場所に該当しないため、はり治療を行う施術所から出る針は同法施行令第2条の4第4号に規定する感染性廃棄物には厳密には該当しない。

しかしながら、環境省通知「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物マニュアル(H18.3.16、環 廃産発040316001」において「通常、医療関係機関等から排出される廃棄物は「形状」、「排出場所」及び「感染症の種類」の観点から感染性廃棄物の該否について判断ができるが、これらいずれの観点からも判断できない場合であっても、血液等その他の付着の程度やこれらが付着した廃棄物の形状、性状の違いにより、専門知識を有する者(医師、歯科医師及び獣医師)によって感染のおそれがあると判断される場合は感染性廃棄物とする。」と解されており、また、世界保健機関等の専門の公的機関が、鍼治療における感染性のおそれを認めている。

したがって、鍼治療に用いる器具等についても、「専門知識を有する者によって感染性のおそれが判断される場合」であるとして「感染性廃棄物」として処理させるべきである。

【参考】

◎「鍼灸の基礎教育と安全性に関するガイドライン(Guidelines on basic training and saf ety in acupuncture)」(1999年、世界保健機関)より一部抜粋

第2節 鍼の安全性に関するガイドライン 鍼治療の安全性

実用面でいえば、一般に鍼治療は、禁忌や合併症の少ない安全な施術である。最も一般的な鍼 治療は皮膚に鍼を刺入するもので、皮下注射や筋肉注射などに類似している。しかしながら、その行為には、少ないながら、HIVや肝炎などの患者間感染や、その他病原菌の侵入の危険性をはらんでいる。そのため鍼治療の安全性を保つには、滅菌および消毒の技術、および清潔の維持に常に注意をはらうことが要求されるのである。