【質問】廃棄物処理法違反の時効について

【質問】

 自宅の庭を掘ったところ、砂袋、鉄筋等の建築廃材がでてきた。建築業者に尋ねたら、築10年も過ぎているので、建築業者に責任がないとの回答であった。そこで、廃棄物処理法違反と時効との関係で、次のことについて、ご教示願います。

  1. 時効は何年か。時効の期間を過ぎたら廃棄物処理法違反を問えないのか。
  2. 時効の開始日は、廃棄物の不法投棄の発見時から日数の算定をするのか。あるいは、建築業者から引き渡しを受けた10年前か。

【回答】

1について
  • 投棄禁止違反であれば、公訴時効は5年。
  • 時効の起算点は、犯罪行為が終わったときから進行するので、10年前に投棄された廃棄物であれば、10年前に投棄された時点が起算点となり、既に5年以上の年月が過ぎていることから、廃棄物処理法違反として事件化はできない。
2について
  • 時効の開始日は投棄された時点であり、廃棄物の不法投棄の発見時からではない。
  • しかし、時効はあくまでも公訴の時効が成立して事件化ができないだけであり、行政としては、原状回復に向けて当事者へ指導を継続する必要がある。
  • さらに、投棄禁止の被害者にあっては、当該行為が、民法第709条の不法行為に該当すれば、損害賠償を請求することも可能である。 ちなみに、損害賠償の時効は、民法第724条によれば、被害者等が損害及び加害者を知りたる時より3年間、不法行為の時より20年間である。
【参考】  

 廃棄物処理法第16条の投棄禁止は、同法第25条の罰則規定により、「5年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し又はこれを併料する。」と規定されている。公訴時効期間については、刑事訴訟法第250条に、「長期10年未満の懲役若しくは禁固に当たる罪については5年」と規定されていることから、前記投棄禁止の公訴時効期間は5年である。

 また、同法第253条には、「時効の起算点は、犯罪行為が終わったときから進行する。」と規定されており、廃棄物処理法第16条の投棄禁止である不法投棄については、廃棄物をみだりに投棄した時点で犯罪行為が終了し、当該時点が公訴時効の起算点となる。

 したがって、本件不法投棄が10年前に行われたものであれば、当該犯罪行為については、既に公訴時効が完成し、刑事処分としての公訴は提起できない。