【質問】部品の一部に石綿を含む産業廃棄物の取扱いについて

【質問】

鉄塔の絶縁などに使用される「がいし」を廃棄しようと考えている。この「がいし」の素材は主に陶器で、一部金属なども含まれており、重量としては1個あたり6kg近くになる。

この「がいし」の中に使われているガスケットという部品があり、重量としては3gほどで、この中に0.1%以上の石綿を含んでいる。

「がいし」を廃棄する際には部品を分けたりはせず、総体として廃棄するつもりであり、その場合全体重量に対しての石綿含有量は0.1%以下になるのだが、取扱いとしてはどのようにすればよいか。

【回答】

石綿を含まない産業廃棄物として差し支えないが、以下の点に留意して排出することが望ましい。

① 委託契約をする業者に対し、内部の部品に石綿が使われていることを伝えること。

② 処理の工程で廃棄物を分別する際に、当該部品が分別され適正に処分されること。

なお、排出段階で部品の分離が可能であれば、分離したうえで石綿含有産業廃棄物は別で処理することが最も望ましい。

【解説】

石綿含有産業廃棄物の定義は廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第7条の2の3において示されており、「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた廃石綿以外の産業廃棄物であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもの」となっている。

今回の場合、ガスケットのみに着目すると重量の0.1%以上の石綿を含んでいるということで、当該部品は石綿含有産業廃棄物に該当する。

しかし、当該部品が排出段階での分離が困難であり、がいしを総体として廃棄する場合、仮にガスケット3gすべてが石綿であったとしても、全体重量の0.1%を超えることはなく、石綿含有産業廃棄物には該当しないということになる。

しかしながら、石綿含有産業廃棄物による不慮の事項防止、環境保全上の被害防止の観点から、内部の部品に石綿が使われていることを収集運搬業者及び処分業者に対して明らかにし、石綿含有廃棄物処理マニュアル等の基準に準じて処理が行われることが望ましい。

【質問】重機のパケットに組み込んだ破砕機による、埋立処分の前処理として実施する廃プラ類の破砕について

【質問】

以下の業許可を有している業者が業を営むにあたり、自社安定型処分場内にて廃プラ類を15cm以下に破砕するための設備の導入を計画している。

・破砕(がれき類)

・安定型埋立(廃プラ、ゴムくず、金属くず、ガラ陶、がれき類)

当該計画は、重機に油圧ショベル搭載式1軸破砕剪断機を取り付けて破砕行為を実施するというものであるが、どのような手続きが必要になるか。

なお、同処理機のカタログによると、処理能力は「4~8㎥/h」とされている。

【回答】

以下3つの手続きが必要である。

1.産業廃棄物事業範囲変更許可申請(破砕品目に廃プラスチック類を追加するため)

2.産業廃棄物処理業変更届出(破砕施設を追加するため)

3.産業廃棄物処理施設設置許可(破砕施設が法第15条に規定する施設に該当するため)

【解説】

パワーショベルに取り付けるバケットに油圧破砕機を組み込んだものは、処理能力次第で、法第15条に基づく設置許可が必要として取り扱っている。

そこで今回の照会に係る油圧ショベル搭載式1軸破砕剪断機の構造について確認すると、当破砕機は重機のバケットに組み込まれているものであり、実際の破砕は重機そのもので行うのではなく、あくまで重機に搭載した破砕機が行うものである。

当破砕機について、

①処理能力算出が可能であること

②重機に組み込むことにより破砕機として主要な施設として取り扱えること

③簡単な手選別等とは言えないこと

以上3点により、廃プラスチック類破砕施設に該当する。

したがって、事業者は廃プラスチック類の破砕行為を追加することになることから、事業範囲の変更許可申請及び破砕施設追加に係る産業廃棄物処理業変更届出の手続きが必要である。

また、カタログによると廃プラスチックの処理能力が「4~8㎥/h」とされており、重量へ換算すると「11.2~22.4t/日」(換算係数0.35)であることから法第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設に該当し、設置許可申請の手続きが必要である。

【質問】廃鉛蓄電池のマニフェスト記載について

【質問】

産業用鉛蓄電池を処理したいがマニフェスト記載は、産業廃棄物のどれにあたるのか。

また、産業廃棄物分類コード表より「3500廃電池類」と記載して発行してもよいか。

鉛蓄電池は、特別管理産業廃棄物として処分すべきなのか?

【回答】

鉛蓄電池は、特別管理産業廃棄物の廃酸、普通産業廃棄物の廃プラスチック類及び金属くずの混合物に該当する。

マニフェストの記載については、「0600廃プラスチック類」「1200金属くず」「7100強酸」にチェックをし、名称に「鉛蓄電池」と記載が望ましい。

また、鉛蓄電池は特別管理産業廃棄物の廃酸を含んでいることから、総体として特別管理産業廃棄物として取扱う。処分する場合は特別管理産業廃棄物の廃酸、普通産業廃棄物の廃プラスチック類及び金属くずの処分業許可を持つ処分業者であり、廃鉛蓄電池を取り扱える業者に処分委託すること、または、(社)電池工業会のように広域認定制度で廃鉛蓄電池の認定がされている業者に処分委託すること。

【解説】

 平成17年3月30日付け環廃産発050330009号「使用済鉛蓄電池の適正処理について」にて、内部の電解液は特別管理産業廃棄物の廃酸に該当するとの通知から、鉛蓄電池は特別管理産業廃棄物の廃酸、普通産業廃棄物の廃プラスチック類及び金属くずの一体不可分混合廃棄物である。

マニフェストの記載については、平成23年3月17日付け環廃産発第110317001号課長通知より、「複数の産業廃棄物が発生段階から一体不可分の状態で混合しているような場合には、その混合物の一般的な名称を記載して差し支えない」と示されているところであるが、それぞれの品目についてはチェックし、名称に「鉛蓄電池」と記載するのが良いと考える。  

 

【質問】協同組合による許可申請の経理的基礎資料について

【質問】

協同組合から許可申請があり、審査していたところ必要書類として法令上定められている株主資本等変動計算書及び個別注記表が添付されておらず、また、協同組合では作成していないとのことだった。

廃掃法にて上記書類を求めることになったのは、会社法の改正によるものであり、協同組合は会社法の適用外であるため、上記書類を財産目録及び利益処分案に代えて添付し、これをもって経理的基礎の判断資料としてよいか。

【回答】

貴見のとおり。

【解説】

平成22年法律第34号改正により平成23年度から経理的基礎判断の資料として、法人においては、株主資本等変動計算書及び個別注記表を法令上求めることになった。協同組合も民法に定める法人であり、施行規則第9条の2第2項第6号に掲げる書類と同等の内容の資料が求められる。

また,平成23年2月4日課長通知 第20より

「平成18年5月1日に施行された会社法(平成17年法律第86号)及び会社計算規則(平成18年法務省令第13号)により、法人会計に係る計算書類の構成が変更され、従来は貸借対照表及び損益計算書に記載されていた内容の一部が、株主資本等変動計算書及び個別注記表に記載されることとなったことに伴い、廃棄物処理業の許可の申請等に際し必要となる書類に、これらの書類を追加したこと(規則第3条第5項等)。なお、株主資本等変動計算書とは、従来より貸借対照表に記載されている事業年度中の純資産の部のうち、当該純資産の部の計数の増減を独立した計算書類として表すものであり、個別注記表とは、従来、貸借対照表及び損益計算書の一部として扱われていた注記を独立した書類としたものであること。」

となっており、会社法改正により廃掃法でも必要書類として求めるものである。

しかし、協同組合は会社法ではなく、中小企業等協同組合法の適用になっており、株主資本等変動計算書及び個別注記表の作成義務はないものの、会社法の諸制度が改正中小企業等協同組合に導入され、決算関係書類の作成が定められたところである。

組合においては、中小企業等協同組合法第40条第2項により財産目録、貸借対照表損益計算書、利益処分案、事業報告書を作成しなければならないとされている。財産目録は、資産及び負債の詳細な内容を示してあり、利益処分案には株主配当金等が示されているため、これらは株主資本等変動計算書及び個別注記表と同等の書類として取り扱って差し支えない。

【質問】複数の排出事業者によって結成された団体による委託契約と管理票の取扱いについて

【質問】

市が分離発注した物件を建築JV、電気JV、機械JV、昇降設備工事の計10業者で施行する。その際、元請け業者で施行協力会を作り、施行協力会として委託契約、マニフェストの発行しても法令上問題ないか。

【回答】

委託契約に関しては、各元請け業者が施行協力会に委任状を交付し契約締結に関する権限のみを委任し、各元請け業者名義で委託契約をするのであれば可能である。 管理票に関しては、明確な集荷場所が設置されていること、回収・処理されるシステムが確立されていること、各元請け業者から施行協力会が依頼をうけているならば可能である。 なお、契約締結に関する権限の委任及び管理票発行の依頼については、文書にて作成し、契約書の一部として綴ることが望ましい。

【解説】

(委託契約について)

平成6年2月17日付衛産20号 産業廃棄物室長通知 疑義問2

「排出事業者が直接処理業者と契約を締結せず、排出事業者団体等に契約締結権限を委任す ることにより、 委任を受けた排出事業者団体等と産業廃棄物処理業者が処理委託契約を 締結する(ただし、契約の当事者は、排出事業者と産業廃棄物処理業者)ことは、法第12条第3項(現法第12条5項)に違反しないか。」 に対する、回答として

「契約締結に関する権限のみを委任状を交付し委任するのであれば差し支えない。この場合、当該排出事業者等は第19条の4に規定する処分を委託した者に該当しないなど、排出事業者責任まで委任できるものではないことに留意すること。」

と回答している。

このことから、委託契約に関しては各元請け業者で結成した施行協力会に契約権限を委任するするのであれば、施行協力会において処理業者と委託契約することは差し支えないと考える。

(管理票発行について)

平成23年3月17日付環廃産初第110317001号 課長通知より

「管理票の交付は、(中略)産業廃棄物を運搬受託者に引き渡すまでの集荷場所を事業者に提供しているという実態がある場合であって、当該産業廃棄物が適正に回収・処理されるシステムが確立している場合には、事業者の依頼を受けて、当該集荷場所の提供者が自らの名義において管理票の交付等の事務を行っても差し支えないこと。なお、この場合においても、処理責任は個々の事業者にあり、産業廃棄物の処理に係る委託契約は、事業者の名義において別途行わなければならないこと。」

とある。
このことから、

1、明確な集荷場所が設置されていること

2、回収・処理されるシステムが確立されていること

3、各事業者から施行協力会が依頼を受けていること

の条件を満たすのであれば、施行協力会が管理票の発行を行っても差し支えないと考える。

【質問】施設の使用権原を証明する書類について

【質問】

産業廃棄物収集運搬業の許可申請において、事業の用に供する施設(駐車場)の所有権・使用権原を証明する書類を添付しなければならないが、以下の事例について御教示願いたい。

①申請者Aは、権利能力無き社団であるB区から土地を借り受け、事業の用に供する施設として申請を行いたい。

②B区は、権利能力無き社団であり、過去の判例によってB区或いはB区代表者名義による登記ができなかった。

③そのため、昭和33年当時役員であったC他5名の個人名義によって共同で登記を行った。

④登記を行った者は全て死亡している。

⑤現在、B区は今後法人化を目指しており、法人登記に向けて手続きを進めているが、相続人全員の把握が出来ていないため、登記変更手続きは未了である。

【回答】

使用権原を証明するために次の資料を添付する必要がある。

① 土地登記簿

② 土地賃貸借契約書

③ 所有事実を記載した申述書

④ 権利能力無き社団の役員等構成員であったことを確認する資料

⑤ 所有・管理を裏付ける書面(固定資産税納税通知書、領収書等)

などが必要である。

今回の事例では、④の資料が現存していないため、③にその旨を記載させ、①、②、③、⑤の資料をもって所有権原を確認されたい。

【解説】

廃棄物処理業の許可申請の際には、廃掃法施行規則第9条の2第2項第3号において、「申請者が全豪に掲げる施設の所有権を有すること(申請者が所有権を有しない場合には、使用する権原を有すること)を証する書類)」を添付することと規定しており、土地登記簿によって所有者を確認し、申請者と所有者が異なる場合には、土地使用承諾書或いは土地賃貸借契約書などの使用権原を証する書類を添付することにより使用権原の確認を行っている。

今回の事例では、登記簿上の登記名義人はC他5名であり、土地賃貸借契約書の契約人はB区であることから、B区が事実上の土地所有者であることが確認できなければ、申請者は当該土地の使用権原があると認められないことになる。そこで、B区が土地の事実上の所有者であることを確認する必要がある。

まず、登記簿にC他5名で共有登記を行った理由については、申述書にも記載されているが、権利能力無き社団(以下、「社団」という。)の所有する土地については、社団或いは社団の代表者の肩書きを付した代表者個人の名義によって登記することができないとする最高裁判例が示されており、登記実務の運用として、判例が示される以前より同様の取り扱いであった。そのため、B区は昭和33年当時役員である個人複数名によって登記が行われたものであるから、登記簿上の所有者と実際の所有者が異なることは判例上そのようにならざるを得ない。申述書の内容と判例は、社団が登記できないかったという事実に相違するところはない。

次に、登記簿上は土地を所有していることができない社団が、当該土地を所有或いは管理しているか実態を確認しなければならない。今回の事例では、B区の所有・管理実態の把握の為、土地の固定資産税に着目する。土地に係る固定資産税の納税義務者は、登記簿または土地補充課税台帳に所有者として登記または登録されている人であり、固定資産税の納税義務者及び納付者を確認することによって、所有・管理の実態を確認することが可能である。提出された納税通知書には、登記されたC他5名が記載されているが、相続人が支払った事実は無く、支払を行ったのはB区であることが領収書から確認でき、B区が所有・管理を行っているとみなすことができる。

よって、土地登記簿、土地賃貸借契約書、事実関係を記載した申述書、固定資産税の納税通知書及び領収書をもって、申請者は土地の使用権原を有していると判断してよい。

【参考】

最高裁判例 事件番号昭和45(オ)232 裁判年月日昭和47年06月02日

裁判要旨 権利能力無き社団の資産たる不動産については、社団の代表者が、社団の構成員全員の受託者たる地位において、個人の名義で所有権の登記をすることができるにすぎず、社団の権利者とする登記をし、または、社団の代表者である旨の肩書きを付した代表者個人名義の登記をすることは、許されないものと解すべきである。

 

地方税法

(固定資産税の納税義務者等) 

第三百四十三条 固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下固定資産税について同様とする。)に課する。 

2 前項の所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者(区分所有に係る家屋については、当該家屋に係る建物の区分所有等に関する法律第二条第二項 の区分所有者とする。以下固定資産税について同様とする。)として登記又は登録されている者をいう。この場合において、所有者として登記又は登録されている個人が賦課期日前に死亡しているとき、若しくは所有者として登記又は登録されている法人が同日前に消滅しているとき、又は所有者として登記されている第三百四十八条第一項の者が同日前に所有者でなくなつているときは、同日において当該土地又は家屋を現に所有している者をいうものとする。 

【質問】農家の排出する産廃の集荷場所の提供について

【質問】

JAが農家から排出された廃ビニールや農薬空容器について、処理料金を預かって、農家に代わってマニフェストを処理業者に交付するなどして処理している実態がある。

この場合、委託契約、マニフェスト、処理費用の取扱いはどうなるのか。

【回答】

1.産業廃棄物処理委託契約について

産業廃棄物処理業者との処理委託契約は、農家が行う必要がある。

2.マニフェストについて

マニフェストの交付、回付等の事務を、農家に代わってJAが行うことについては問題ない。

3.処理料金について

JAが、農家から処理料金を、単に預かって処理業者に渡すことは構わない。

【解説】

1.産業廃棄物処理委託契約について

廃ビニールや農薬空容器の排出事業者はあくまでも農家であることから、産業廃棄物収集運搬業者及び産業廃棄物処分業者との処理委託契約は、農家の名義で行う必要がある。

なお、処理委託契約の取りまとめ等の事務を、農家に代わってJAが行うことについては問題ないが、JAと農家の間で、そうしたルールや相互の関係を明示した規約等を定めていくことが必要である。

2.マニフェストについて

マニフェストの記載方法としては、事業者(排出者)欄には農家の名前、交付担当者欄には「JA○○支店 担当○○」、排出事業場欄にはJAの集積場所を記載する必要がある。

なお、マニフェストの交付、回付等の事務を、農家に代わってJAが行うことについては問題ないが、JAと農家の間で、そうしたルールや相互の関係を明示した規約等を定めていくことが必要である。

3.処理料金について

JAが何らかの名目で農家から預かった処理料金の一部を得る場合は、産業廃棄物処理業の許可が必要である。

 

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