【質問】養豚業者による食品残さの受入について

【質問】

 食品工場やスーパーなどからの食品残さを受入れして、家畜の餌としたい。 受入れに当たっては、収集運搬料金等の経費を排出事業者から徴収する予定である。

  1. この場合、どのような許可が必要か。

  2. 食品残さを受入れした後、特に何の処理もせずに、家畜に餌として与えることは可能か。

【回答】

1 必要な許可について

 排出事業者から収集運搬料金等の経費を徴収することから、廃棄物処理業の許可を要する。なお、排出事業場によって、食品残さは産業廃棄物又は一般廃棄物に分類されることから、産業廃棄物の場合は県、一般廃棄物の場合は管轄の市町村から許可を得る必要がある。 

2 未処理のまま家畜に餌を与えることの是非と必要な許可の関係

 未処理のままの食品残さを家畜に餌として与える行為は、受入事業者が有価物と認識して取り扱っているものと捉えて良いと考えられる。 ついては、規制改革通知(環廃産発第050325002号)のケースとは、第三者たる運搬業者が介在していない点が異なるものの、運搬中は廃棄物とみなし、受入事業者の事業場に着いた時点で有価物とみなすべきであり、廃棄物収集運搬業の許可のみを要する。

3(追加検討)食品残さを処理した後にしか家畜に餌として利用できない場合

 食品残さを飼料化(熱処理等)した場合にしか家畜の餌として利用できない場合は、当該食品残さは飼料化するまでは廃棄物と見なされることから、廃棄物収集運搬業及び処分業の許可を要する。

 【解説】

 「動植物性残さ」は、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、排出元である業種によって、産業廃棄物又は一般廃棄物として区別される。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号 )」(以下 、「法」という。) 施行令第2条第4号では、「食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物」と定義されており、排出元が食品製造業たる食品工場の場合は、産業廃棄物として取扱うこととなる。また、日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)に規定される飲食料品小売業たるスーパーは、食品製造業と業種が異なるため、一般廃棄物として取扱うこととなる。

 全国的に戦前から残飯等を回収し、家畜の餌として利用する畜産農家が存在していることもあり、本計画においても、食品残さを特段の加工を施さず、そのまま家畜の餌とし て利用できる場合、譲り受ける側の事業場まで運搬された時点で、有価物たる餌として取り扱っても差し支えない。ただし、需要と供給のバランスを図ることを前提としており、そのバランスが取れず、食品残さとして退蔵された場合、悪臭や汚水等で生活環境保全上、支障が生じるおそれがあるため、適切な管理を行う必要がある。

 運搬業者は、収集運搬料金を徴収して回収を行う場合、食品工場から排出された食品残さは、 産業廃棄物に該当するため、収集運搬業の許可が必要であり、また、排出事業者は、その運搬過程においては、法に基づく委託基準が適用されることに留意すること。なお、一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。
 譲り受ける側において、飼料化を施さない限り、餌として利用価値が見い出せない場合には、その飼料化がされるまでは、廃棄物に該当することから、産業廃棄物処分業の許可、又は、一般廃棄物処分業の許可が必要となる。
 なお、飼料化にあたっては、「飼料の安全性の確保及び改善に関する法律(昭和28年4月11 日法律第35号)」に基づく農林水産大臣の登録並びに原料収集、製造、保管等の過程における安全性の確保と「食品残さ等利用飼料における安全性確保のためのガイドライン」に基づく異物混入の未然防止等の対応を図る必要があるため、所管する関係省庁及び都道府県畜産部局に事前相談されたい。

【参考】

  • 「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成16年3月19日閣議決定)」において平成16年度中に講ずることとされた措置(廃棄物処理法の適用関係)について(通知)
  • 行政処分の指針について(通知)」(平成25年3月29日付け環廃産発第1303299号)
  • 「飼料の安全性の確保及び改善に関する法律」(昭和28年4月11日法律第35号)
  • 「食品残さ等利用飼料における安全性確保のためのガイドライン
  • 「養豚業におけるエコフィードの利用の促進と廃棄物処理法制」(都道府県・市町村御担当者向け資料集)平成27年4月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進 室廃棄物対策課・産業廃棄物課