【質問】緩衝材として使用された石綿(碍子)の処理について

【質問】

 電力会社より、電柱に使用した碍子の処理を受託したが、当該碍子は、石綿緩衝剤を 使用しており、その形状は次のとおりである。

◎碍子自体の性状は陶磁器である。

◎当該碍子の中に、緩衝材としてシート状の石綿が使用されており、他の材料との混合、固形化等されていない。
石綿の含有率は85パーセント程度。

◎会社側は、当該石綿を取り除き、石綿部分以外を再利用したい様子。

 上記碍子は、特別管理産業廃棄物たる「廃石綿等」に該当するか。

 なお、当社としては、石綿を取り除く前の碍子の処分については、石綿の飛散防止を確保するため、石綿含有産業廃棄物の破砕又は切断が原則禁止されていることから、そのままの状態での埋立又は溶融での処理が望ましいと考えている。

【回答】

 廃棄物処理法施行令第2条の4第5号ヘにおいて、「廃石綿等」は、「廃石綿及び石綿が含まれ、若しくは付着している産業廃棄物のうち、石綿建材除去事業(建築物その他の工作物に用いられる材料であって石綿を吹き付けられ、又は含むものの除去を行う事業をいう。)に係るもの、別表第3の1の項に掲げる施設〔※大気汚染防止法第2条第11項に規定する特定粉じん発生施設が設置されている事業場〕において生じたもの及び輸入されたもの(事業活動に伴って生じたものに限る。)であって、飛散するおそれのあるものとして環境省令で定めるものをいう」と定義されている。

 当該質問に係る石綿を取り除く前の碍子は、上記の定義に該当せず、普通の産業廃棄物たるガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず(石綿含有産業廃棄物を含む)に該当する。

 また、碍子から取り除いた石綿は、特別管理産業廃棄物たる廃石綿等に該当する。

【参考】

◎碍子とは

 電線とその支持物(電柱・鉄塔など)との間を絶縁するために用いる器具。電気絶縁性や野外での耐候性、機械的な強度が求められることから、多くは磁器を素材としている。ヨーロッパや旧共産圏(例:東欧、ロシア、モンゴル)、日本国内で古くから敷設されている電線路ではガラス製の碍子を見ることができる。また、北アメリカ・中近東などを中心に、軽量なポリマー製の碍子が普及している。

 通常、高圧電線を支える場合には、碍子を介して電柱や鉄塔などに支えられる。超高圧送電線では、絶縁性確保のため数十個の碍子を連ねて数メートルの長さに及ぶものも使われる。また、電線の張力を打ち消すために取り付ける支線の絶縁確保には玉碍子を用いる。