【質問】死亡獣畜の自ら処理について

【質問】

 死亡獣畜取扱い場については、その設置は化製場等に関する法律(以下、「化製場法」と言う。)に基づくものであるため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、「廃棄物処理法」と言う。)第15条の規定に基づく産業廃棄物最終処分場の許可の取得を必ずしも必要としない。

 しかし、死亡牛については廃棄物処理法施行令第2条に規定される産業廃棄物たる「動物の死体(畜産農業にかかるものに限る。)」であるので、自らが排出事業者となる死亡牛以外を処理する場合は、廃棄物処理法第14条の規定に基づく産業廃棄物処分業の許可の取得を必要とする。

【状況】

 現在、法人Dから化製場法に基づく死亡獣畜取扱い場の設置し、自らが所有する牛が死亡した場合は、当該取扱い場で埋設する予定であり、法人Dの牛の飼育に関する業務の運営体制は以下のとおりである。

(1) 法人Dは牛を所有しているが、飼育及び繁殖は他法人(法人A、B及びC)に委託している。

(2) 法人A、B及びCの社員は、代表者以外はほぼ全て法人Dからの出向社員である。

(3) 出向社員の給与は法人Dが支給している。
(4) 法人Dと他法人(法人A、B及びC)は牛の飼育及び繁殖業務委託に関する契約書を交わしているが、当該契約書に飼育及び繁殖業務によって発生する廃棄物の処理の責任についての記載はない。
(5) 飼育及び繁殖業務のなかで発生する家畜排泄物の処理は法人Dが行っている(費用負担も法人D)。

【照会事項】

 法人Dは、自ら所有する牛(飼育及び繁殖業務は他法人に委託)が死亡牛となった場合、自ら設置する死亡獣畜取扱場において、自らの社員(他法人に出向中)によって、自らの重機を使用し、埋設処理の作業を行う予定であるが、当該作業は「自ら処理」と解してよいか。

【回答】

1.排出事業者について

 埋設処理する死亡牛は、飼育及び繁殖は法人A、法人B及び法人C(以下「他法人」という。) が行っているものの、所有者は法人Dであるとのことから、死亡牛の排出者は法人Dである。

2.従業員の指揮監督権について

 従業員は他法人へ出向中であるため、当該従業員に対する指揮監督権は他法人が有すると考えられる。 ただし、環境省通知「規制改革・民間開放推進3カ年計画(平成16年3月19日閣議決定)において平成16年度中に講ずることとされた措置(廃棄物処理法の適用関係)について(通知)」の「第三 企業の分社化等に伴う雇用関係の変化に対応した廃棄物処理法上の取扱いの見直し」に掲げる5つの要件をすべて満たしていれば、従業員の埋設作業が法人Dの自ら処理と解することができる。

具体的には以下のとおり。

①法人Dが死亡牛の処理について自ら総合的に企画、調整及び指導を行っていること。
②当該設置しようとしている死亡獣畜取扱場等の使用権限及び維持管理の責任が、法人Dにあること。
③法人Dが従業員に対し個別の指揮監督権を有し、他法人との間で従業員が従事する業務の内容(この場合は死亡牛の埋設処理の作業)を明確かつ詳細に取り決めること。
④法人Dと他法人との間で、死亡牛の排出者責任が法人Dに帰することが明確にされていること。
⑤上記3及び4についての事項が、法人Dと他法人との間で従業員の出向に関する契約を書面にて締結することにより明確にされていること。

3.結論

法人Dは、自ら所有する牛が死亡牛となった場合、自ら設置する(予定の)死亡獣畜取扱場において、出向中の社員に埋設処理の作業を行わせる場合、上記規制改革通知に掲げる5つの要件をすべて満たした場合に限り、当該死亡牛の埋設処理は「自ら処理」と解することができる。