【質問】テナントの委託契約について

【質問】

A社はテナント業を営んでおり、テナントに入居している法人各社に代わって、産業廃棄物の処理委託契約やマニフェストの交付を一括で請け負っている。処理料金も同様に、A社が各社から取りまとめを行い、委託先へ支払いを行っている。

今回、テナントに入居しているB社より廃棄物処理法では個別契約が基本であり、A社が他社の廃棄物について委託契約を結んだり、マニフェストを交付することは処理法違反ではないかという疑義が生じている。

A社がテナント各社に代わって、委託契約を結んだり、マニフェストを発行することは可能か。

【回答】

可能である。

民法の代理契約をA社とテナント各社が結ぶことで、A社が代理人として委託契約を締結することができる。

【解説】

廃棄物処理法第12条第5項において、「事業者はその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、(省略)...それぞれ委託しなければならない。」と定めており、排出事業者が処理業者と契約を結ぶ必要がある。

また、テナント等のマニフェストの運用については、環境省通知によって運用方法が示されているが、その中では、

産業廃棄物を運搬受託者に引き渡すまでの集荷場所を事業者に提供しているという実態がある場合であって、当該産業廃棄物が適正に回収・処理されるシステムが確立している場合には、事業者の依頼を受けて、当該集荷場所の提供者が自らの名義において管理票の交付等の事務を行っても差し支えないこと。なお、この場合においても、処理責任は個々の事業者にあり、産業廃棄物の処理に係る委託契約は、事業者の名義において別途行わなければならないこと。

とされており、テナントを管理しているA社そのものが排出事業者となることはできない。

一方で、廃棄物処理法には、民法第99条~第118条に規定された代理について、制限する内容は無く、契約においても代理権の設定は可能であると解することができる。

代理によって結ばれた契約は、テナント各社が排出事業者として契約を結んでいることになる。

実務上は、テナント各社とA社の間で代理契約を含む契約書を作成し、廃棄物処理委託契約についてA社とテナント各社は代理契約を行うことが明記されている必要がある。

【参考】

○産業廃棄物管理票制度の運用について(通知) 公布日:平成13年03月23日 環廃産116号
民法第99条 (代理行為の要件及び効果)

廃棄物処理法における排出責任を負う事業者は誰か?後編:さまざまなケースについて考える。

○かゆいところに手が届く廃棄物処理法虎の巻