【質問】重油灰の廃棄物該当性について

【質問】

当社では、これまで自社重油火力発電所から発生する重油灰(2,000~6,000kcal/kg)を、自社ロータリーキルンで単純燃焼させ、減容後は、産業廃棄物として処分している。

今回、自社重油火力発電所から発生する重油灰を、自社石炭火力発電所にて微粉炭と混合し、再使用する計画だが、その場合、当該重油灰は産業廃棄物なのか。

【回答】

産業廃棄物ではない。

【解説】

廃棄物該当性については、行政処分の指針(平成17年8月12日付け環廃産発第050812003号)の「②廃棄物該当性の判断について」に基づいて判断する。

【ア 物の性状について】

重油灰については、生活環境保全に係る関連基準はなく、性状についての基準もない。

重油灰は、燃料として十分利用できるエネルギー(2,000~6,000kcal/kg)を有して おり、利用用途に要求される品質を満足している。(石炭燃料:5,300~6,900kcal/kg)

また、加水によりケーキ状の半固形で排出され、その運搬に当たっても加水により飛散・流出を防止するとしていることから、飛散、流出、悪臭の発生等の生活環境保全上の支障が発生するおそれはなく、十分な品質管理がなされているものと考えられる。

【イ 排出の状況について】

混焼する重油灰は年間260t程度である。1日に石炭2,000t/日程度の石炭を使用しているが、これに重油灰1~2t/日程度(0.01~0.02%程度)を混ぜて使用する。需要量は供給量を満たしている。

重油灰は加水しながら袋詰めし運搬されることから、適切な取扱いがなされているものと 解される。

【ウ 通常の取扱い形態】

県内では、重油灰について製品としての市場は形成されていない。

同社では、これまで、重油火力発電所で発生した重油灰を、これまで重油火力発電所内の焼却施設でA重油を使って単純焼却していることから、排出時の重油灰は産業廃棄物と考えられる。

しかし、重油灰は県内に排出する事業場は同社以外にない特殊な廃棄物であることから、同社の取扱い形態をもって一概に「重油灰=通常は廃棄物」とみなすことは適切でないと考えられる。

【エ 取引価値の有無】

自社内での利用であり金銭のやりとりはない。

【オ 占有者の意思】

重油灰は、熱量があり、これを使用することにより石炭の使用量を削減することができることから、燃料として適切に利用する意思が認められる。

 

上記ア~オを総合的に勘案すると、同社の重油灰については、これを燃料として用いる場合は 廃棄物ではないと判断する。