【質問】未納税がある場合の経理的基礎判断について

【質問】

産業廃棄物収集運搬業者Aが更新許可申請を行っている。Aは民事再生法第33条に基づく民事再生手続開始の決定がなされた再生債務者である。

本申請において、納税証明書中に未納税が確認され(310万円程度)、完納するまでは許可が出せない旨、行政書士経由で指導した。

後日、行政書士から連絡があり、「現在、税務署と調整し、未納税を定期的に少額ながらも納付中である。しかし、この未納税は直近3年間に生じたものではなく、それ以前に生じたものである。将来的に完納可能と思われるので、多額で完納は長期に渡るものの、長期的財務計画書の添付をもって経理的基礎の判断を行ってほしい。」との報告を受けた。

当職にて法人税の分納について、国税事務所に電話確認を行ったところ、未納が認められる場合、国税通則法第46条第2項により、納税猶予の手続きが取られることと規定されており、納税計画書や納税に係る誓約書の提出等の方法により、未納者に対する完納のシステムが確立されている。

分納による完納期限は原則1年間であるが、個々の事情を勘案して、期限をさらに猶予する措置も図られている。

ついては、申請者に「国税通則法第46条第2項に基づく納税の猶予に係る通知」、または「税務署の受付印がある納税計画書の写し」を未納に至った理由書及び長期的財務計画書と併せて提出させることにより、「経理的基礎を有さないと判断することはできない」と解してよいか。

【回答】

お見込みの通り。

【解説】

本来、未納税がある場合には延滞税が課されるが、それでも納税されない場合、督促状や催告状が送付されるほか、最終的に財産差押えなどの強制徴収手続が行われ、取引先からの信用失墜に繋がるなど、当該事業継続に多大なる支障をきたすおそれがある。

国税通則法では、納付困難な理由がある場合、第46条にて納税の猶予が認められている。申請者が国税事務所と協議の上、納税計画を講じている場合には、上記の懸念を回避することが可能であり、猶予期間中の延滞税も免除される。また、提出した納税計画がうまく履行できなくなってしまった場合においても、再度税務署と交渉することにより、計画の再変更に応じてもらえるケースが多い。

したがって、申請者に「国税通則法第46条第2項に基づく納税の猶予に係る通知」、または「税務署の受付印がある納税計画書の写し」を未納に至った理由書及び長期的財務計画書と併せて提出させることにより、経理的基礎を有さないと判断することはできないと解してよいと思われる。