【質問】産業廃棄物処理施設使用前検査について

【質問】

廃棄物処理法第15条第1項の規定に基づく産業廃棄物処理施設設置許可申請(がれき類の移動式破砕施設)を検討している事業者(産業廃棄物処分業許可業者)がおり、処理施設の設置場所として以下のとおり計画している。

   ① 県内全域の排出事業場

   ② 事業者の自社ヤード(屋外で建築物はなし)

   ③ 事業者の産業廃棄物処分業許可証に記載されている中間処理場(屋内使用)

(1) 廃棄物処理法第15条の2第5項の規定に基づく産業廃棄物処理施設の使用前検査について、先に自社ヤードでの設置状況を受検し、建築基準法第51条のただし書きの許可取得後(ただし書き許可のための審査会は年に1~2回程度開催される)、中間処理場における設置状況の検査を受検することは可能か。

(2) 仮に、産業廃棄物処理施設の使用前検査を2回受検したとき、検査証の交付はどのようにするか。

【回答】

(1) 事業場毎に使用前検査を受けることは可能である。

【理由】

① 廃棄物処理法と他法令との関係

廃棄物処理法における許可は、同法で定める人的要件及び技術上の基準に適合すれば許可しなければならない「羈束(きそく)許可」であり、他法令に基づく許可を得ていない段階であっても、産業廃棄物行政の立場で同法に定められた手続を進めても差し支えないとされている。

また、土木建築部局の通知から、建築物がない場合は、当該施設の設置は建築基準法の対象外となるが、建築物がある、もしくは建築物を設置する場合は、廃棄物処理法による産業廃棄物処理施設設置許可を取得していても、都市計画審議会の許可を得ずに産業廃棄物処理施設を設置した場合は、建築基準違反となる。(整理すると以下のとおり)

自社ヤード(屋外):産業廃棄物処理施設設置許可取得後に施設設置が可能。

事業者処分場(屋内):産業廃棄物処理施設設置許可及び建築基準法第51条

           ただし書きの許可取得後に設置可能。

 

② 産業廃棄物処理施設使用前検査について

産業廃棄物処理施設の使用前検査では、当該処理施設が設置に関する計画に適合していることを確認し、その検査内容には、処理施設の構造以外に設計計算上達成することができる排ガスの性状、放流水の水質その他の生活環境への負荷に関する数値が含まれているが、産業廃棄物処理施設の屋内設置と屋外設置とでは、生活環境への負荷に関する数値を達成するための対策やその付随設備に違いがあると考えられる。

上記①及び②から、当該施設の屋外設置と屋内設置については、他法令(建築基準法)に基づく設置可能時期が異なり、また、設置状況の違いから検査すべき内容も異なるため、設置場所毎に使用前検査を受検した方が望ましい。

なお、建築基準法第51条ただし書きの許可を取得後、使用前検査を一括して受検することも可能とし、個別若しくは一括受検の選択は事業者が行う。ただし、建築基準法第51条のただし書きの許可取得前に中間処理場に施設を設置した場合は、建築基準法違反であるため、建築部局に情報提供し、指導させることとしたい。

 

(2) 検査済証は受験毎(個別)に交付する。

【解説】

産業廃棄物処理施設を用いた処理は、

①自ら排出した産業廃棄物の処理を行う。(処分業の許可不要)

②他人の産業廃棄物を受託処理する。(処分業の変更許可(変更届出)が必要)

があり、使用前検査終了後、①の自ら処理に使用することも想定されるため、設置者に不利益が生じないよう、検査証は一括ではなく、受検毎に交付することしたい。

【参考】

○ 厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知(平成4年8月13日付け衛環第233号)第3の1(1)

廃棄物処理施設の設置を許可制としたことから、他法の許可等を得ていない段階であっても、産業廃棄物行政の立場で法に定められた手続きを進めて差し支えないこと。ただし、処理施設を立地しようとする場所について他法の規制がある場合については、関係部局に連絡するなどの配慮をされたいこと。

○ 廃棄物処理法第15条の2第5項

 前条第一項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物処理施設の設置者」という。)は、当該許可に係る産業廃棄物処理施設について、都道府県知事の検査を受け、当該産業廃棄物処理施設が当該許可に係る前条第二項の申請書に記載した設置に関する計画に適合していると認められた後でなければ、これを使用してはならない。 

○ 廃棄物処理法第15条第2項

前項の許可を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。

  一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

  二 産業廃棄物処理施設の設置の場所

  三 産業廃棄物処理施設の種類

  四 産業廃棄物処理施設において処理する産業廃棄物の種類

  五 産業廃棄物処理施設の処理能力(産業廃棄物の最終処分場である場合にあつては、産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所の面積及び埋立容量)

  六 産業廃棄物処理施設の位置、構造等の設置に関する計画 

  七 産業廃棄物処理施設の維持管理に関する計画

  八 産業廃棄物の最終処分場である場合にあつては、災害防止のための計画

  九 その他環境省令で定める事項 

○ 廃棄物処理法施行規則第11条第2項

前項の申請書に法第十五条第二項第六号の産業廃棄物処理施設の位置、構造等の設置に関する計画に係る事項として記載すべきものは、次のとおりとする。

  一 産業廃棄物処理施設の位置

  二 産業廃棄物処理施設の処理方式

  三 産業廃棄物処理施設の構造及び設備

  四 処理に伴い生ずる排ガス及び排水の量及び処理方法(排出の方法(排出口の位置、排出先等を含む。)を含む。)

  五 設計計算上達成することができる排ガスの性状、放流水の水質その他の生活環境への負荷に関する数値

  六 その他産業廃棄物処理施設の構造等に関する事項  

 

○ 建築基準法第51条

都市計画区域内においては、卸売市場、火葬場又はと畜場、汚物処理場、ごみ焼却場その他政令で定める処理施設の用途に供する建築物は、都市計画においてその敷地の位置が決定しているものでなければ、新築し、又は増築してはならない。ただし、特定行政庁が都道県都市計画審議会(その敷地の位置を都市計画に定めるべき者が市町村であり、かつ、その敷地が所在する市町村に市町村都市計画審議会が置かれている場合にあつては、当該市町村都市計画審議会)の議を経てその敷地の位置が都市計画上支障がないと認めて許可した場合又は政令で定める規模の範囲内において新築し、若しくは増築する場合においては、この限りでない。 

○ 建築基準法施行令第130条の2の2

法第五十一条 本文(法第八十七条第二項又は第三項において準用する場合を含む。)の政令で定める処理施設は、次に掲げるものとする。

  一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号。以下「廃棄物処理法施行令」という。)第五条第一項のごみ処理施設(ごみ焼却場を除く。)

  二 次に掲げる処理施設(工場その他の建築物に附属するもので、当該建築物において生じた廃棄物のみの処理を行うものを除く。以下「産業廃棄物処理施設」という。)

    イ 廃棄物処理法施行令第七条第一号から第十三号の二までに掲げる産業廃棄物の処理施設

    ロ 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)第三条第十四号に掲げる廃油処理施設