【質問】安定型最終処分場の部分廃止について
【質問】
安定型最終処分(17筆)の許可を受けている業者が、許可更新時期を迎えているが、安定型処分場に供している17筆のうち3筆について、地権者の同意がとれない。
この3筆のうち、1筆は埋立終了しており、2筆は埋立を開始していない。これら3筆を部分的に廃止し、更新申請を受けることが可能か。
【回答】
未埋立及び埋立完了の事業場それぞれ手続きをとることで、更新申請を受けることができる。
【必要な手続き】
1 未埋立の2筆について
(1) 業許可について
「擁壁又はえん堤の変更」及び「最終処分場の縮小」が発生することから産廃処分業変更届出を要する(規則第10条の10第1項第4号)
(2) 施設について
① 「擁壁又はえん堤の変更」に該当することから産廃処理施設変更許可を要する。
(規則第12条の8第3号カ)
② 変更許可後、埋め立てていない箇所に関して、軽微変更届出を要する。
(法第15条の2の6第3項ただし書き)
2 埋立が完了している1筆について
(1) 業許可について
既に廃棄物を埋め立てた1筆については、最終処分場として使用されたことから、廃止基準に適合することが確認されないと廃止が出来ない。すなわち変更事項が無いことから、特に届出は必要無い。
(2) 施設について
上記1と同様、廃止基準に適合することが確認されないと廃止が出来ないことから、現時点で特に届出は必要無い。
【解説】
1 未埋立の2箇所に係る手続きの根拠について
最終処分場の廃止基準については、最終処分場の安全性が確認されることなく維持管理が打ち切られることがないよう平成10年に新たに定められたものであり、「廃棄物処理施設として維持管理を行わなくとも、掘削などによる遮水工の破損や埋めたてられた廃棄物の攪乱等の行為がなくそのままであれば、生活環境の保全上の問題が生ずるおそれがない状態になっているか否かを判断するための基準」として規程されたものである。(参考:平成10年7月16日環水企第300号・生衛発第1148号)
そして、廃棄物が埋め立てられていない処分場の廃止基準については、最終処分場に係る技術上の基準を定める省令第2条第3項で「~~廃棄物が埋め立てられていない産廃の最終処分場にあっては、廃棄物が埋め立てられていないこととする」とされており、生活環境の保全上支障が生ずるおそれのない箇所、すなわち廃棄物が埋め立てられていない箇所を強く規制する性質ではないと考える。
したがって、廃棄物が埋め立てられていないことを確認のうえであれば、部分的に法第15条の2の6で準用する法第9条第3項第5項に規定する廃止確認を受けることが可能であり、廃止確認後、業に係る変更を届出る必要がある。
なお、当該事業場は、廃棄物が地下にある土地では無いため、法第15条の17第1項で規定する指定区域の対象とはならない。
2 埋立が完了している1筆に係る手続きの根拠について
(1) 業許可について
「埋立を完了」=「当該場所で今後廃棄物の処理を行わない」と解することが出来ることから、当該土地の使用権限が無いことをもって、適正な処理施設を有していないとまでは言えない。
(2) 施設について
上記(1)と同様、廃止基準に適合することが確認されないと廃止が出来ないことから、現時点で特に届出は必要無い。
(3) 参考
規則第10条の5第2号イ(1)
埋立処分を業として行う場合には、産業廃棄物の種類に応じ、当該産業廃棄物の埋立処分に適する最終処分場及びブルドーザーその他の施設を有すること。
【参考】
産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)(平成25年3月29日環廃産発第13032910号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長)
第1 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業の許可について
3 施設に係る基準
(1) 申請に係る施設について、その構造が当該施設において取り扱う産業廃棄物の性状に応じた適正な処理ができるものであること、稼働後の運転を安定的に行うことができ、かつ、維持管理が適正に行えるものであること等について必ず実地に確認すること。その際、当該施設が廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号。以下「令」という。)第7条各号に掲げる産業廃棄物処理施設以外の施設である場合には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号。以下「規則」という。)第12条及び第12条の2に規定する技術上の基準(以下単に「技術上の基準」という。)を参考とされたいこと。
(2) 申請者が、当該申請に係る施設について、継続的に使用する権限を有していることを確認すること